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12/08

3.37 (評価数:622件)

〒068-0411 北海道夕張市末広2-4 [地図]

札幌から車で90電車で150

スキー場情報(詳細)

わりとコンパクトだけど…充分楽しめるぞ

4.5

2016/01/28

雷電風雪さん

☆☆☆☆  満足 機会があればまた来たいね

【総評 …というか訪問記】
'16.1.21(木)初訪問。
記録的な暖冬で雪不足に喘ぐ本州のスキー場に見切りをつけ、雪を求めて北海道に飛んだ。ところが、運悪く、僕の北海道入りを狙っていたかのように爆弾低気圧が停滞、発達(泣)、すっかり予定を狂わされてしまった。今回は3泊4日の日程で、2、3、4日目を滑る日に充てていたのだが、既に2日とも行先変更を余儀なくされ、しかも午後からの滑り出しという、何とも不完全燃焼な状態が続いている。最終日のこの日は荒天も漸くピークを越えた。今日こそは予定通りレースイに行けるだろ、いや、行かにゃならん!と、気合を入れて、少々早起きしたのである。

さて、本章ではちょいと遠回りな長文をお許し願いたい。
僕自身の忘備録を兼ねて、スキー場の選定からアクセス方法の調査まで、その経緯を記録しておきたいからである。肝心のスキー場情報はまだまだ先になりそうなので、興味のない方は読み飛ばして頂きたい。また、これから行ってみようかと考えておられる方には、ひょっとすると有益な情報もあるかも知れないから少々お付き合い願いたい。

【選定と事前調査】
まず、なぜこの日がマウントレースイなのかという理由からだが、それはこの日の動線が、起点は札幌(泊まってたホテルがあるから)、終点は新千歳空港(東京のおうちに帰るから)と決まっているからだ。ちょっと地図を出して、札幌と新千歳空港の位置関係を見てもらえれば一目瞭然だが、こういう動線の日は札幌より東方、鉄道でいえば石勝線方面にあるスキー場を目指した方が移動経路のロスが無く、時間を有効に使えるのである。この方面で僕の“行くべきスキー場”にリストアップされている所は4か所。札幌から近い順に、レースイ、日高国際、トマム、サホロである。このうち、トマムは既に行ったことあるから今回はパス。日高国際は、公共の足で行くのはかなり大変そうだし、コースを見るとスキーよりボードの方が合いそう、でも今回持ち歩くのはスキーだし…という理由でパス。結果、レースイとサホロの一騎打ちになった。そこで気になったのが以前小耳に挟んだサホロの大規模拡張計画である。詳細は良く知らんが、現状はどうやら凍結しているらしい。ま、このまま計画倒れになるのが関の山だろう…なんて気もするが、ひょっとするとひょっとして、数シーズン後には新設リフトや新コースの1本や2本できているかもしれないし、どうせ行くならその時に…という期待を込めて、今回はパス。こうしてレースイに軍配が上がったのである。

レースイは、スキー場隣接のオフィシャルホテルが夕張駅の目の前にある。北海道のメジャークラスでは唯一の駅前ゲレと言っていい。以前はトマムも駅直結のコースとリフトがあったのだが、現在では廃止されているようだ。鉄道でのアクセスが良いスキー場は、長時間バスに缶詰めになるのが好きじゃない僕にとっては有難い。時間を調べてみると、札幌8:01発の特急スーパーとかちでぶっ飛ばして新夕張乗換え、普通列車でトコトコ走って夕張着が9:32。朝からみっちり滑りたい派の僕にとっては絶好の時間である。
そこで早速、JR利用の札幌発日帰りプランを探してみたのだが、コレがどういう訳か存在しないのである(往復JR+リフト券+宿泊のパックはある)。トマムやサホロはちゃんと日帰り商品があるのに、だ。いったい関係者どもは何を考えているんだろう?こんなの宝の持ち腐れじゃないか!とは言え無いものは無いで仕方ないので、JRの切符とリフト券を別々で買うしかないか、と…割高になるのは承知の上で調べてみた。
まず、札幌~夕張の切符だが、JR北海道は対夕張輸送にはまるでやる気がないらしく、往復割引切符の設定もない。正規に乗車券と必要な特急券を買うという、コスパ的には最悪の選択である。で、往路の運賃が、札幌→新夕張の自由席特急券込みで3,290円。復路は、終着が新千歳空港だし、特急を使う区間が変わりそうなので後で調べることにして次はリフト券だ。正規の一日券が4,752円、ランチパックが5,508円。…高いなぁ。更に、どうしたことかレースイでは割引クーポンの類が全く見当たらないのだ。僕がいつもお世話になっているSTA、SURF & SNOW、ダレモクラブ、ローソンチケット、JTBレジャーチケット、etc.…無い。本当にない。公式HPを目を皿にして見ても、割引クーポンはない。マジかよ~。時間を考えれば現地で昼メシを食うのは間違いないのでランチパックを選ぶと、行って、滑って、メシ食って、で、既に8,798円。これに帰路の交通費が別途かかる…
アタマが痛くなってきたので、あまり好きではないがバス利用の場合を調べてみた。札幌発着のバスパックは6,230円。これには昼メシ代は含まれていないし、札幌に帰着した後、新千歳空港への交通費が別途かかるが、やはりJR利用より遥かに安い。が、時間を見て即座に却下した。現地滞在時間が短すぎるのだ。バスが現地に着いてから発車するまでに4時間半ちょっと。俺的には足りるわけがない。実際に滑っている時間が4時間以上もあればクタクタヘロヘロかも知れないが、バスにしろ列車にしろ、公共の足で移動する時はどうしても滑る前と後の支度に時間がかかる。昼メシ休憩の時間もある。どう考えても時間が足りない。因みにレースイには新千歳発着のバスパックもあるのだが、どういう訳か僕が行く期間は全便運休で使えない。仮にあったとしてもやはり現地滞在時間が短すぎて却下。どーしてバスパックはあんなに朝が遅いんだろう…と文句を言いつつ、高いけどやっぱしJRで行くしかない、と、ハラをくくった。
帰りの列車を調べる。飛行機は、新千歳21時発なので、遅くとも一時間くらい前に新千歳空港駅に着かないといけない。夕張駅はそもそも列車の本数が少ないので、時刻表を見れば帰りの列車は殆んど自動的に決まってしまう。早いのは夕張発16:28で、これだと特急を使わずに新千歳まで行けて18:32着。乗換えは南千歳で一回。運賃は1,410円。おお、やはり鈍行列車だけだから安い。その分時間もかかるが、飛行機の時間に対しては充分過ぎる余裕があるから構わない。2時間もかかるのは単に列車のスピードがのろいからだけでなく、途中の追分駅で30分以上停車したりするからだ。北海道に限らず、地方の鈍行列車でままあるこうした大休止は、僕にとってはコーヒー買ったり一服したりするのにちょうど良いので苦にはならない。一本遅くすると夕張発18:15。こいつを使うと、追分~南千歳のひと区間だけ特急を使うことになるから、乗換えは2回、新千歳着は20:02。運賃は、特急料金込みで1,720円だ。どっちを使うかはその時の疲労度と気分で決めればいいのだが、自分の性格を考えると、どーせ目一杯滑るんだろうな。
ということで、遅い方の列車で帰るとしてトータルの費用は10,518円。まぁ、額面だけを見ればやはり、高い。例えば同じJR利用のトマムやサホロの日帰りプランと比べてみても、どう考えても高い。バスパックとは比べ物にならないほど高い。利点は、滞在時間が圧倒的に長いこと、昼メシが付いてくること、そもそも事前予約のパック商品じゃないから当日まで何もしなくていいし、直前で“やっぱやーめた”となっても何もしなくていいこと…後は、値段に見合うだけの快適さと満足度が得られるかどうか、だ。これから書く当日の様子は、要するにこの費用対効果の実地検証でもあるのだ。さあ、あなたならどんな評価を下すだろうか?

【札幌から夕張へ】
1月21日木曜日。7時半前に泊まっていた札幌駅前のホテルをチェックアウトした。
空は晴れ間が見え、特に風も強くない。そういえば、昨日も一昨日も、北海道中を暴風雪のニュースが席巻してた割には札幌は平穏だった。今日も未だオホーツクの方では荒天のようだが、僕が動く範囲では天気の心配はなさそうだ。もちろん、朝起きた時からスマホでJRの運行状況はこまめにチェックし、予定の路線が平常運行であることは確かめてある。この手の情報がすぐに入手できるのはJR利用のメリットだろう。バス利用だったら、いちいち電話をかけて確認しないと分からないだろう。…尤も、爆弾低気圧さえ来なければそんな心配はいらないのだが。
札幌駅は通勤ラッシュの真っ只中だ。スキーやボードを持った遊びモードの人間など僕だけで、浮きまくりだ。改札口の自動券売機で手持ちの小銭分のテキトーな乗車券を買う。どのみち券売機では夕張までの切符は買えないし、すぐに特急の車内で改札を受けるのだからその時に清算すればいい。因みに札幌近郊は交通系ICカードが使える。一昨日の朝里川も昨日の藻岩山も、JR、地下鉄、路線バス全てで手持ちのスイカが使え、ずいぶん便利になったと思ったが、さすがに夕張はムリなので要注意だ。
僕が乗る特急スーパーとかち1号は札幌始発、座れないことはまずない筈だが、自由席は一両しかなく、今回のように板を持ち歩いている時は車両の一番後ろの席を確保したい(シートと壁の隙間のスペースに板や荷物を置きたい)ので、ちょっと早めに並んだ。ほどなく列車が入線、狙い通りの席を確保し、先ず出足は順調だ。自由席車はそれなりに人が乗っていたが、混んでるというほどでもなく、僕の隣の席も下車するまで空いていた。8:01定刻発車。さすがはJR北海道自慢の俊足特急だ。ディーゼルエンジンをブンブン唸らせて、一路、東へ向かって突っ走る。車掌が回って来たので、札幌で買ったテキトーな乗車券を夕張まで乗り越し精算してもらい、新夕張までの特急券も購入。当たり前だが、事前に調べた値段ピッタリだった。後は缶コーヒーを飲みながらウトウトしてるうちにあっという間に新夕張到着、夕張行きの鈍行に乗り換える。新夕張は、特急停車駅とはいえ寂れた田舎駅で、エレベーターなどという文明の利器は存在しない。乗り換え時間は5分しかないから、重い荷物を持って急いで階段を昇り降りするのは、列車で滑りに行く時の最大のデメリットだが、もう数えきれないくらい経験したし、慣れた。夕張行きの鈍行は一両ぽっきりの古いディーゼルカーで、ガラガラだった。地元っぽいジイサンバアサンがほんの数人と、ちょっと“鉄分”濃いめの中年カップルの旅行客、それに僕だけだ。ガラガラのローカル列車でのんびり走るのは、一番旅情を感じられるので好きなひと時であり、バスにはないゆとりのようなものがある。ここまでは、カネはかかるが列車で来てまあ正解、と言ってもいいだろう。30分ほどトコトコ走って、9:32、夕張着。空は時折薄日が差す程度の曇り空で特に強い風もない。さほど強い冷え込みではないが、もちろん気温は氷点下だ(いちお、気象庁のデータを調べてみると、この時の気温は-3.8℃。その後も一日中氷点下の真冬日である)。スキー場の様子は、目の前のホテルの建物に遮られて見えないが、ゴンドラの運行に支障があるとも思えず、コンディションはまず最高と言っていいだろう。既に車内の乗客を見て分かっていたことだが、この列車で滑りに来たのは僕一人。平日だし、TVではまだ暴風雪の余波に注意を呼び掛けていた日だということを差し引いても、こんな絶好の時間帯の列車を誰も使っていないということは、要するにレースイへのアクセス手段として鉄道は殆んど顧みられていないということであり、何とももったいないような、寂しいような気がしたものだ。…だからさぁ、夕張リゾートさんとJR北海道さんさぁ、日帰りパック作ってよ。もう少し価格を抑えてくれたら絶対使う人、いると思うんだけどね。少なくともここに一人、バカ高い正規料金払ってまで来てるモノ好きがいるじゃない(笑)。

【ホテルマウントレースイで支度♪】
駅を出て、目の前にあるホテルに入っていくと、すぐにスーツを着た品のよいおじさまが寄ってきた。そうだ、ここはスキー場のセンターハウスではない、リゾートホテルなのだ。「えーと、日帰り利用なんですが、ロッカーと更衣室は?」と聞くと、すぐに「こちらを使ってください」とロビー左手のスペースに案内してくれた。そこはホテルからスキー場へ行く通路を兼ねた広い場所で、大きなゴロゴロバッグも余裕で入るコインロッカーとアパレルショップの試着室のように一人ずつ仕切られた更衣室、ベンチとテーブル、延々と続くスキーラック、ドリンクの自販、壁で仕切った喫煙所…という、支度をするにはこれ以上ないというほど100点満点、完璧な場所だった。東側は大きなガラス窓がずっと続いてすこぶる見晴らしが良く、小さな川を挟んだ向こうにスキー場のほぼ全景が見えていた。このスペースを使っていい、というのは実は想定外の超ラッキー!で、事前のリサーチではスキー場のゴンドラステーションの方にもロッカーと更衣室があるから、日帰り客はそっちを使うように案内されるんだろうと思っていたのだ。僕がスキー場に行って一番嫌いなのは、何を隠そう、ロッカールームや更衣室がやたら狭くて、他の客と押し合いへし合いになることである。こればっかしは本当にイヤだ。土足禁止の場所を平気で無視するクソガキや混んでるのに無遠慮に荷物や汗臭い着替えを広げて意地でも自分のスペースを確保しようとするクソジジイなんかと一緒になると本気でぶん殴りたくなる。もし、ゴンドラステーションのロッカールームに行かされていたら、たぶんクルマで来た他の日帰り客が何人かはいただろうし、修学旅行やスキー教室の団体なんかとカブッたらそれこそ目も当てられないことになる。だが、ホテル内のこのスペースを使えるならそんな心配は一切無用だ。宿泊客は自分の部屋で支度してるはずだからここで一緒になることはない。日帰りバスパックの客はたぶんこのスペースを使うのだろうけど、到着も出発も、列車利用の僕とは時間帯が違うから、やはりかぶらない。こんなに広々としたスペースを文字通り独占してゆっくり準備できるのだから、これはもう、文句のつけようがないのである。あ~、JRで来て良かった。事前の調査であまりのコスパの悪さにアタマを抱えたのも忘れ、本気でそう思ってニヤニヤしてるのだから、人間というのは勝手な生き物である。普段なら滑る前の準備はできるだけ手早く済ませてしまうのだが、あまりの快適さについついのんびりしてしまう。イカン、もう10時を過ぎている。行くぞ。

【やっとこ、スキー場概要】
マウントレースイスキー場は、本州からのパッケージツアーが入るメジャークラスの中では、規模、知名度とも底辺と見ていいだろう。僕の周りにも、ニセコやトマムに行ったという人はぞろぞろいるが、レースイに行ってきた、という話はついぞ聞いた覚えがない。ゴンドラはあるものの、長さは1,800mと短め、滑走標高差は約400mで、これは中の下くらいの数値だ。コースバリエはさて置き、単に奥行きと標高差だけで分かり易く比較すると、福島の猪苗代リゾートをほんの少し平たくしたくらい、群馬のノルン水上をほんのひと回り大きくしたくらいだ。ここでノルンを引き合いに出すくらいだから決して大きくないことは実感できるだろう。横方向の広がり、コースバリエはさすがにメジャークラス、ノルンなどとは比べ物にならないほど豊富で、実際に滑った感覚では、1泊2日くらいなら全く問題ないだろう。ただ、3日以上滑るなら飽きちゃいそうなので、もっとデカい所に行った方が良さそうだ。リフトは、ゴンドラの他にチェアリフトが4基、全てデタッチャブルリフトで快適だ。雪質は北海道内陸らしいドライパウダーで、整地はややハードパックなものの、エッジの喰いつきは良く、カービングでぶっ飛ばすにはちょうどいい斜度のコースが多い。降雪量は多い地域ではないので、フカフカパウダーランはよほど運が良くないとありつけないだろう。浮遊感で較べれば、例えば今回の遠征では、朝里川がダントツ、札幌藻岩山にすら勝てない。非圧雪コースは単なる荒れた不整地で面白味は少なく、吹き曝しの山頂付近では雪付きの悪い部分も散見された。また、さすがに昨日までは爆弾低気圧の影響で風が強かったらしく、コース内のあちこちに飛ばされた小枝が散らばっていたが、幸いソールを傷めるほどではなかった。まぁ、詳しくは後で【コース状況】の項に書いておこう。ナイター営業は毎日19時まで。1クワ、2クワの営業で、これも後で詳述するが、思いっ切りコブを滑れるので僕としては利用価値が高かった。マップを見ると4ペアもナイター対象なのだが、この日は平日だからか15時で終了だった。一日券はナイター終了まで通しで有効で、これは評価できる…というか、値段を考えればこのくらいのサービスは当然かな。バスパックだと帰りの時間が早いのでナイターはムリだが、JRなら最後まで滑っても帰りの列車はある。

…ま、そういうことで、ようやくいつもの評価項目だ。長々とお付き合いくださり、感謝申し上げますm(__)m


【ここが○】
・標高差が小さい割に、豊富なコースバリエーション。
・良好な雪質。ただし、深雪狙いには不適。
・各施設が基本的に綺麗。
・日帰り客にも当然のようにホテル側の施設を使わせてくれるホスピタリティ。
・空いてる。僕は基本的に平日滑走なので何処に行っても空いてるのだが…色んなレビューを見ると、ここは休日でも比較的空いてるようだ。
・ランチパックのメニューが素晴らしい。僕は味噌ラーメンを選んだのだが、単体でも充分なボリュームなのに、ザンギが5個も付いてくる。更に夕張メロンゼリーまで。で、どれも美味い。特にゼリーは超絶美味で、お土産に買っていこうとしたのに…売ってるトコ分からなかった。あれ、ゴンドラステーションのショップに置いといたら絶対売れると思うぞ。あ、ザンギとゼリーは他のメニューを選んでも付いてくるよ。

【ここが×】
・さんざん書いてきたことだが…駅が目の前なのにJRの日帰りパックが無い。本当にもったいない!
・リフト券が高い。バスパックを使わないとホントに高くつく。割チケも全然ない。ひょっとすると道内のスポーツショップやコンビニなんかで配布してるのかも知れないが、道民じゃない俺には知る由もない。
・で、パスパックは滞在時間が短い。
・ナイター営業しない2本のリフトは終わるのが早い。15時は早すぎだろ!特に3ペアが15時で終わっちゃうのは、上級者的にちょっと不満。ゴンドラは16時まで動いているから問題なさそうな気がするのだが…実はゴンドラ山頂からレーシングライン方面には行けるのか行けないのか良く分からないのだ。この辺りはオープンバーンで、コースの境がそもそも明確じゃないのだが、パノラマラインからレーシングラインへ下りようとするとやたら雪付きの悪いブッシュだらけの急斜面を通るしかない。行こうと思えは行けそうだが…ソールをやっちゃいそうで、僕は行かなかった。要するに、一般的な判断で言えば、レーシングABとラクーンの3コースは15時で終わるということだ。

【天候・気温】 薄曇り~雪。日中、ベースで-3℃くらい。

【雪質】 乾雪

【公表積雪深】 105cm

【リフト、コースオープン状況】
全リフト運行。“ネイチャーゾーン”以外の全コースオープン。ネイチャーゾーンの4コースは全てクローズ。

【混雑状況】
平日。修学旅行らしき団体2校。自衛隊少々。外人さんは白人系アジア系ともゼロ。ただし、帰り際にアジア系の団体客がチェックインしてたので、いる時はいるんだろう。リフト待ち、全てゼロ。ゴンドラも毎回一人乗車。コース混雑、なし。

【上級(一部中級)コース状況】
☆☆パノラマライン☆☆
整地。AとBの区別は全然分からない。眺めが良くて快適だが吹き曝しのオープンバーンなので荒天の時は辛いだろう。Cはネイチャーゾーン扱いなのでクローズしてたハズだが…これまたオープンバーンだから良く分からない。知らずに滑ってたのかも。滑ってたとしたら、ただの硬めの不整地。

☆☆レーシングA☆☆
整地。ぶっ飛びカービングバーン。昼過ぎくらいまでリフト寄りにポールがセットしてあった。リフト真下に長いラインコブが1本。前半急斜面部分はふり幅がバラバラに荒れていた上、枝落ちだらけだったので滑らず。後半緩斜面部分はピッチ長め、深さ浅めで難易度低。2クワ下のラインの方がずっと面白くてそっちばっか滑ってた(詳しくはそっちで書く)ので、こっちは2本くらいしか滑らなかった。

☆☆レーシングB☆☆
不整地。荒れてはいたがギャップやコブは殆んどなく、見た目ほど難しくはない。結局、流して滑ってもう終わり?って感じで面白くなく、1本だけでやめた。ボードだったら不整地の練習に好適だったかも知れない。

☆☆スウィンギングB☆☆
整地。急斜面部分はあっという間に終わる。滑ってる人、いない。

☆☆スウィンギングC(中級)☆☆
整地。ダブルスパイラルなるループ状のトンネルコースがウリらしいが…。ループ外側の土手部分がちょうど新雪(すごく浅いけど)の急斜面になってて、面白そうだったから…滑っちゃいけなかったのかな?

☆☆ダンシングA(中級)☆☆
整地。超快適カービングバーン。下から見て右手はネットで仕切ったパークエリア。昼過ぎくらいから来たボーダーが一人だけ、エントリーしてた。そういえばこのスキー場、びっくりするほどボード率低かったな。リフト真下に長いラインコブが1本。スキー場メインのクワッドの真下で、それも上から下まで殆んど全部。こんなトコにライン造った目立ちたがり屋は一体どんなやつだろうと考えただけで笑ってしまった。ピッチは普通だが、割としっかり掘れていて硬い。競技モーグル風のタテタテラインでズラせるバンクは殆んどない。で、斜度は大したことないが、とにかく長いので通して滑ろうとすると筋力が持たない(笑)。ワタシですか?ええ、長すぎてモモが悲鳴を上げたので、毎回2回に分けて滑ってましたよ。通しで滑ってたらすぐに足がつって、ぢえんどでしたよ(笑)。この日、滑ってたのは本当に俺一人だった。あまりに目立つ場所なので、みんな尻込みしちゃうのかな?リフト支柱のすぐ脇も遠慮なしに通って行く強気のラインだったので、ちゃんと滑れる人じゃないと怖いだろうし。もちろん、ナイターでも思いっきり滑れます。この日は夕方から本降りの雪に変わって、その時間帯には新雪が溝に溜まってクッションになり、だいぶ楽に滑れるようにはなった。けど、疲労もMAXになってる時間なので、無理はせず、2回に分けて滑ってた♪

【オマケ情報①】
以下は全てネイチャーゾーンのコースであり、この日は公式にはクローズです。なので、あくまでも“見た感じ”でのレポです。ホントに見ただけかどうかの判断は皆さんの想像にお任せします。

☆☆カービングライン☆☆
不整地。コース後半の急斜面はそれなりに迫力がありそうだが…深雪やコブがあるでもなく、意外とあっさり終わっちゃう、かな。ブッシュは出てるが、滑れないほどじゃない。でも、まだ積雪は薄く、元の地形によると思われる溝が埋まってないので注意が必要、だろう。

☆☆ラクーンライン☆☆
不整地。スキー場最大斜度を謳っているが、それはレーシングAから分岐してすぐの、ほんの短い部分らしい。たぶん、あっという間に終わる。後は、林の中のトレースを辿ってるうちにあっさり終わりそう。

☆☆スリリングライン☆☆
完全に林の中で、先の様子は全く分からない。なので、さすがにワタシも…

【オマケ情報②】
かつて、日本のスキーコースで最大斜度を謳っていた“エキストリームライン…たしかこんな名前だった…”の跡地はブッシュだらけでもう入れないカンジ。ただ、存続してたとしても、そんな名物難コースにはなれなかっただろうな。そんなに急斜面が続くワケじゃないし。木島平のパイオニアコースの方が、やっぱ遥かにスゴい。

【エピローグ】
…などというタイトルを付けてみたものの…まだまだ長いんだろうな…。

日没を待たずして、本降りの雪になった。幸い風は伴っていないが、一気に気温が下がったのが分かる。やがてゴンドラの運行が終了し、ナイター照明に明かりが灯り、滑っている人はほんの数えるほどになった。
ずっと前に、帰りの列車の時間は二通りあると書いたが、2クワ下のコブがナイターでも滑れると分かった時点で遅い方確定だ。シンシンと冷えてくる体をコーヒーで温め、黙々とコブと戯れ、よっしゃ、もう思い残すことはない!と板を脱いだのは17時ちょっと前。空はもう真っ暗だった。
滑る前と同様、ホテルの、あの広ーいスペースをまたまた独占して、帰り支度だ。足は鉛のようだが、この疲労感は心地良くもあるから不思議だ。荷造りの合間合間にストレッチを繰り返しつつ、ゆっくりゆっくり帰り支度を整える。ややあって、アッチの方からの団体さんが到着、賑やかな中国語が飛び交うロビーの脇を抜けて「お世話さま~」と小声で呟きながらホテルを後にした。

18:15発の鈍行もやはりガラガラだった。ボックス席を独り占めして、駅前のセイコマで買ってきた菓子パンを齧っていると、すぐに瞼が落ちてくる。もちろん、空いていれば、の話だが、この解放感は汽車旅ならでは、バスにはないよなぁ…といつも思う。一時間かけて終点の追分までのんびり移動、20分の待ち合わせで後続の特急に乗り継ぐ。やってきたスーパーおおぞら10号は、遥か釧路から札幌を目指す長距離ランナーで、時間が時間だけにやはり混み合っていた。2両ある自由席はほぼ満席だ。通路側の席にいくつか空席があったから座れないことはないが、どうせ南千歳までのたったひと駅、10分ちょいしか乗ってないのでそのままデッキに立っていた。ふと気になってスマホでJALの運航情報を見てみる。今日の道央は特に荒れた天気じゃなかったので、今まで全くノーマークだったのだが…。何と、僕の予約していた21時発の羽田行きは…欠航!ガーン!悪天候の影響で機体のやり繰りができなくなったためらしい。まさか、最後の最後にこんな落とし穴が待っていたとは…。とは言え、もうこんな時間だし、今更じたばたしてもしょうがない。もちろん空港には行くだけ行って、振替便の確認はするが、こりゃもう一日延泊だな、明日もどっかで滑っちまうかな、と開き直ったものだった。南千歳で乗り換えた快速エアポートも混んでたので、そのままデッキに立つ。ひと駅たったの4分だからこれまたどうでもいい。JALのカウンターに直行して確認すると、何のことはない、後発の最終便に空席があって、あっさり振替搭乗の手続きが済んでしまった。何だ、明日も滑れると思ったのに…儚い夢だったよ(笑)。

…長い長いこの訪問記も漸く終わる。そもそもこんなクソ長い駄文をつらつら書いてきた理由は、安いパスパックを使わず、わざわざ高い正規料金を払ってまでJRで滑りに行くだけの価値があったのか…を検証するためだった。
結論を先に言うと、JRで行って正解だった、とは思う。
一週間経ったいま、改めて考えてみても…高い、という感想は変わらない。でも、それで損をした、モトは取れなかった、という後悔は全くない。むしろ、これを書いていて思い出すのは、満喫したという満足感だ。そうである以上、正解だったんだろう、ということだ。
往復の車中は快適だった。帰りの2区間は座れなかったが、それぞれひと駅ずつだけだからどうってことないし、行きの特急も、空いてる鈍行列車も、狭いバスのシートに揺られているより数倍快適だ。ただ、バスは、一度乗ってしまえば乗換えの必要はないし、所要時間だって、JRで特急を使った場合と大して変わらないから、絶対的に劣る、という訳ではない。致命的だったのは、先にも書いたが、滞在時間の短さだ。もし、バスパックで現地滞在が6時間以上あったら間違いなくそっちを使っていただろう。どう考えても安くてお得だからね。…あ、でもバスは、軽井沢の事故みたいなことがあるからなぁ…。でも、少なくともこのレースイに行ってるのはちゃんとした路線バスの会社だから、その点の心配は、まぁ、ないだろうけど。

…思いついた事は全部書く、長くなっても気にしない。敢えてそういう前提で書いてみたら、ホントにとんでもない長文になりました。まさか、全文読んでくれた方がそうそういるとは思わないけど、お付き合いいただいた方、ありがとうございます。

だからさ~。もうちょっと安い値段でJRの日帰りパック作ってよ!
駅が目の前なんだぜ~。
そしたら使う人、いると思うけどな~。
てか、俺は使うよ。間違いなく。